これまで色んな場所で仕事をしてきて、
「やる気がない」と評価されている人に
何度か出会ってきた。
覚えが遅い、ミスが多い、指示を守らない。
周囲からは、そんなふうに見られている人たちだった。
見えている行動だけを並べると、
たしかに「やる気がない」と思われても仕方ないのかもしれない。
動きが遅い。
判断に時間がかかる。
指示されたことを、なぜか後回しにする。
注意されると、素直に謝るというよりも、
まず状況を説明しようとする。
そうした小さな違和感が積み重なって、
周囲の評価が固まっていく。
私自身も、最初は同じように「困った人」だと認識していた。
ただ、そういう人たちの行動を長期間見ていると、
少しだけ違和感があった。
よく観察すると、
それらの行動には、ある共通点があった。
たとえば、判断に時間がかかる人は、
何を基準に決めればいいのかが分かっていないように見えた。
業務の流れがスムーズでない人は、
「なぜその作業をするのか」が理解できていないようだった。
また、指示と違う動きをしてしまう人は、
自分の中のやり方や、ルールを優先しているようにも見えた。
起きていることを一つひとつ分解していくと、
それは「やる気の問題」とは少し違うように感じた。
行動の裏にある「処理の仕方」が、
人によって違っているだけなのかもしれない。
この視点を手に入れてから、
人に対して苛立ちを感じることが、かなり少なくなった。
以前は「どうしてできないんだろう」と思っていたことも、
「どこでつまずいているんだろう」と考えるようになった。
見え方が変わると、
関わり方も少しずつ変わっていく。
どうすればいいのか、
何を伝えればいいのか、
といった対応の方向性も、
以前より少し見えやすくなった。
ただ、この見方が、
周囲にそのまま伝わるわけではなかった。
同じ状況を見ていても、
「やる気の問題」と捉える人は多い。
「やる気がない」と判断している人たちに、
私なりに言葉を選んで伝えてみても、
それは「私の優しさ」として受け取られることがほとんどだった。
間違っているわけではないのかもしれない。
ただ、少しだけ「もったいない」と感じてしまう。
人の行動は、見えている部分だけで判断すると、
どうしても単純なラベルに収まりやすい。
でも、
「どうしてこの行動を取るのか」
「どういう理由でこの判断につながるのか」
というふうに、
その行動の裏にあるものを分解してみると、
少し違う景色が見えてくることがある。
もちろん、すべてに当てはまるわけではないし、
常にこれが正しいとも限らない。
ただ、こういう見方を知っているだけで、
怒りが消えて楽になれる場面や
状況を少しだけ良い方向に動かせる場面もあるように思う。
そんな視点を頭の片隅に持っておくと、
以前より心穏やかに過ごせるかもしれない。
