継続できない原因は、意思ではなく設計にあった

はじめに

Duolingoという言語学習アプリがある。
私はこのアプリで、
英語学習をかれこれ1400日以上続けている。

そう言うと、

「意思が強いんですね」

と驚かれることがある。

ただ正直なところ、
1400日以上もの間、ずっとやる気を保っていたわけではない。

どちらかといえば、

面倒な日
疲れて何もしたくない日
なんとなく気分が乗らない日

そんな日の方が圧倒的に多かった。

にもかかわらず、
私は1400日以上アプリで英語の学習を続けている。

この経験は私に、

「継続に必要なのは意思の強さではない」

という事実を教えてくれた。

継続できないのは意思の問題?

これまでの私は、

継続できる人は意思が強く、
継続できない人は意思が弱いのだと思っていた。

何かを続けられなかった経験はたくさんある。

日記をつけようと決めても、
数日で書かなくなってしまった。

毎日筋トレをする!と意気込んでいたのに
気がつけばやらなくなっていたこともある。

三日坊主で終わってしまう度に、

「また続かなかった」
「自分は意思が弱くてダメだ」

というふうに考えていた。

では、Duolingoで1400日以上学習を続けている今、
私の意思の力が強くなったのかというと、
そうではない。

人はなぜ継続できなくなるのか

なぜDuolingoはこれだけ長い期間続けられるのだろうか。

人が継続できなくなる理由を一つずつ見ていくと、
その答えが見えてくる。

忘れる

継続を阻む主な原因のひとつは
忘れてしまうこと」である。

私たちは、
やるべきことを無数に抱えながら
毎日生活している。

やろうと心に決めていたことも、
他のタスクに押しのけられて
忘れてしまうことがよくある。

これは個人の能力の問題ではなく、
人間が覚えていられることにはそもそも限界があるのだ。

Duolingoでは、
1日1回レッスンを終わらせないと
何度も通知が来るリマインダー機能がある。
この機能によって、
「レッスンをやること」を思い出せる仕組みになっている。

続けにくい目標

次に問題になるのは、
適切でない目標」だ。

私は何かを始めるとき、
「どうせやるならしっかりした目標を立てよう」
と考えて、ちょっと頑張ればできるくらいの目標を設定していた。

「1週間に1冊本を読む」
「1日2時間勉強する」

といった具合に。

ただ、人間は全く同じ毎日を過ごしているわけではない。

仕事のトラブル対応でひどく疲れてしまったり、
友人と過ごす時間が楽しくて帰りが遅くなったり、
体調が優れなくて何もできない日があったりする。

日によって状態が安定していないのが当たり前だ。

つまり、一日の平均だけを見ると達成できそうでも、
毎日の最低ラインとして考えると話は変わる。

「普通の日」を基準にした目標は、
「普通ではない日」が来た瞬間に崩れてしまう
のだ。

Duolingoのレッスンは、
大体1つが5分以内で終わるボリュームになっている。

そして、1つレッスンを終了すれば目標達成となり、
連続記録が更新される。

どんなに忙しい日であっても、
5分確保できれば目標に届く。

継続を目指すなら、
「頑張ればできる目標」よりも、
どんな日でもできる目標」の方が、
結果として長く続く。

成果が見えない

さらに、人は
成果が見えない」と継続をやめてしまう。

英語学習に限らず、
何か新しいことを始めたとき、成果はすぐには現れない。

1日勉強したからといって急に英語が話せるようになるわけではないし、
ちょっと運動しただけで劇的に体力がつくこともない。

人は、自分が前に進んでいる実感を持てないと、
続ける理由を見失ってしまう。

Duolingoでは、
レッスンを終えるたびにXP(経験値)が増え、
連続記録も更新される。

リーグ順位も毎日少しずつ変化していく。

つまり、英語力そのものは目に見えなくても、

「日々の小さな一歩を積み重ねた」

という事実が、見える形で残る。

一度止まると続けにくい

せっかく毎日続けていても、
一度途切れると、そのままやめてしまいやすい

これもまた、継続を困難にする要素のひとつだ。

「今日は疲れているから明日やろう」

その日一日くらい大丈夫だと思っていても、
翌日には、

「昨日できなかったし、今日もいいか」

となり、
気づけば何週間も手をつけずに
そのままやめてしまった、
という経験は誰しもあるのではないだろうか。

Duolingoでは、
毎日レッスンをひとつ終了することで
更新される連続記録がある。

この記録を見せられると、

「ここまで積み重ねた記録を途切れさせたくない」

という気持ちが、

「面倒でも5分だけやっておこう」

という小さな行動を後押ししてくれる。

継続は、
一日一日の積み重ねで成り立っている。

だからこそ、
その積み重ねを守りたくなる仕組みは、
継続を支える大きな力になる。

ここまで見てきたように、
Duolingoには、
人が何かを継続しようとするとき直面する問題を
ひとつずつ取り除く仕組みが組み込まれている。

通知で忘れないようにする。
目標を小さくする。
成果が見えるようにする。
積み重ねを失いたくないと思えるようにする。

継続を支えていたのは、
意思ではなく、
人間が続けやすいように設計された仕組み
だ。

私が1400日以上学習を続けられた理由は、
この仕組みを使っていたからに他ならない。

「人間の見方」が変わった

もちろん、
これだけなら
「Duolingoはよくできたアプリだ」
という話で終わる。

しかし、
私にとって本当に大きかったのは、
別の気づきだった。

Duolingoを1400日以上続けて、
私が最も驚いたのは英語力の向上ではなかった。

「継続できないのは意思が弱いからだ」

という考え方が覆されたことである。

続かなかった原因は、
私の人格にあったのではなく、
続けられる仕組みを持っていなかったことだった。

人間ではなく、仕組みを変える

この考え方に辿り着いてから、
私は何かを始めるたびに、

「もっと頑張ろう」

ではなく、

「どうすれば続けやすい仕組みにできるだろう?」

と考えるようになった。

最近は「習慣トラッカー」を利用して、
新しい習慣を定着させるべく試行錯誤している。

毎日少しでもいいから読書をしたい。
部屋をきれいに保ちたい。
ブログをコンスタントに書き続けたい。

以前の私なら、
「もっと意思を強く持たなければ」
と考えていた。

でも、今は違う。

毎日記録が残るようにする。
小さな達成でも評価する。
完璧を求めない。

人間の意思に依存するのではなく、
人間が続けやすい仕組みを作る。

そう考えるようになった。

洗濯や洗い物が面倒なときもある。

それでも、

「とりあえず洗い物を片付けて今日のスコアにしておこう」

と思うと、
面倒でも手を動かすことができる。

私にこうした行動を起こさせるのは、
強い意思ではない。

行動しやすい仕組みを使っているだけだ。

以前の私は、
続かない度に自分を責めていた。

でも今は、

「どうすれば続けられるだろう」

と、まずは仕組みを考えるようになった。

人間は、
忘れる。
疲れる。
気分も変わる。

そういう生き物だからだ。

だから私は、
人間を変えようとするのではなく、
人間に合わせて仕組みを変えることにした。

Duolingoが1400日以上かけて教えてくれたのは、
英語だけではなかった。

人間には意思の力だけでは続けられない日がある。

だからこそ、
人間の意思ではなく、
仕組みが継続を支える状態
を作る。

始めたことがうまく続かないとき、
自分を責める前に、
仕組みに原因がないか考えてみてほしい。

問題は、自分ではなく、
やり方にあるのかもしれない。

自分を変えようと頑張るより、
自分に合った仕組みを作る。

そういう小さな工夫をした方が、
人はずっと前へ進みやすいのだと思う。

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